ブログ | ワインスクールレコール・デュ・ヴァン

2025.11.14 日本ワイン

2025年秋の遠足「長野ワイナリーツアー」②

秋晴れの気持ちいい一日、秋の遠足「長野ワイナリーツアー」のレポート後編をお届けします。「アトリエ・ド・フロマージュ」でランチを楽しんだ後は再びバスに乗り、東御市のお隣の小諸市へ移動。

【訪問先③ テールドシエル】

到着したのは、小諸市糠地地区にあるワイナリー「テールドシエル」。

ワイナリー前のウッドデッキで代表の池田岳雄さんが出迎えてくださりました。美しく手入れされたブドウ畑、八ヶ岳連峰や北アルプスなど望む絶景が目の前に広がります。

池田さんがブドウを植え始めたのは、還暦を迎えた60歳の年。標高900mを超える前例のない高地でのブドウ栽培に対して、「長野県でパイナップル作るようなものだから絶対にやめたほうがいい」「荒廃地を開拓しても、また荒廃地になるだけだ」という声も上がっていたそうです。

そんな中で、凍害対策をはじめとする対策を講じ、手間ひまを惜しまずに丁寧な栽培を続けてきた池田さんたち。2020年には醸造所が完成し、醸造栽培責任者の桒原一斗さんとともにワインを造っています。

「ワインの95％はぶどう。醸造は5%」
傘かけも、レインカットせず、自然に任せてブドウが“ワインになりたい”というまで収穫を待つ。そんな徹底した栽培から生まれるワインは、その土地らしさをまっすぐに映し、飲む人たちを魅了し続けています。

現在、ブドウ畑の面積は約4.2ha。ピノ・ノワール、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、カベルネ・フランなど約10品種を栽培。来春にはさらに80aを伐採・抜根して約3,000本の苗木を植える予定だそうです。

そんなブドウ栽培、ワイン造りについてのお話を、絶景の中でお聞きした後は、畑の下にある「糠地ワインハウス」へ移動。青木先生の乾杯で、お待ちかねのテイスティングタイムがスタート。貴重なドメーヌもののワインを3種類テイスティングさせていただきました。

① 「テールドシエルシュール・リー 2023」
糠地ワインハウスでしか飲めないという100本限定ワイン。ここに来て、畑やワイナリーを見てテロワールを感じていただきながら、飲んでいただけたらという思いで作られているキュヴェ。テールドシエルのドメーヌものの滓を集めて、2回滓引きして作られたワインは、ラズベリーやスモモのようなピュアなニュアンスがあり、やわらかな印象でした。

② 「テールドシエルソーヴィニヨン・ブラン 2022」
ドメーヌものの中でもファンの多いソーヴィニヨン・ブラン。ちょうど飲み頃になるよう、池田さんが朝のうちに抜栓しておいてくださったそうで、グレープフルーツや白桃の華やかな香りが立ち、溢れんばかりのジューシーさと余韻の長さに驚きました。

③ 「テールドシエルピノ 2022」
そして最後は、ピノ・ノワールを。こちらは、醸したピノ・ノワールと白仕立てのピノ・ノワールをアッサンブラージュしたもの。落ち着いた雰囲気のストロベリー、ラズベリーの香り、しっかりとした酸味を中心とした複雑な味わいで、しみじみ美味しいなと感じる赤ワインです。